0283-22-6262

都市ガスを知る

都市ガスの環境優位性

都市ガスは「最も環境負荷が低い化石燃料」であり、将来の脱炭素社会に向けた技術転換を支える基盤としての可能性も秘めています。
電化や再生可能エネルギーと調和しながら、安定的かつクリーンなエネルギーとして、将来にわたって安心して暮らせる社会の実現に貢献できる存在です。

ガスタンク

環境にやさしいクリーンエネルギー

都市ガスは、石炭や石油と比較して同じ熱量を得る際の二酸化炭素排出量が最も少ない化石燃料です。さらに、燃焼時にばいじん(PM2.5)や硫黄酸化物(SOx)、煤煙をほとんど出さず、窒素酸化物(NOx)の排出も少ないため、大気汚染や酸性雨の原因となる物質を大幅に抑制できます。また、燃焼後に灰などの残留物が発生しない点も特徴。
地球環境にやさしい、よりクリーンなエネルギーといえます。

同じ熱量を得る際の
都市ガス(天然ガス)、石油、石炭の排出ガスの比較

  • 【CO₂(二酸化炭素)】

    石炭を100とした場合

    グラフ 二酸化炭素
  • 【SOx(硫黄酸化物)】

    石炭を100とした場合

    グラフ 硫黄酸化物
  • 【NOx(窒素酸化物)】

    石炭を100とした場合

    グラフ 窒素酸化物

出典:CO₂「火力発電所大気影響評価技術実証調査報告書」(1990年3月)/(一財)エネルギー総合工学研究所
SOx・NOx「natural gas prospects」(1986年) /OECD・IEA

街並み 写真

都市ガスインフラを活かした
脱炭素への移行

都市ガスの主成分であるメタンと同一の性質を持つカーボンニュートラルメタン(CNメタン)は、既存の都市ガスインフラやガス機器をそのまま活用できる次世代エネルギーです。燃焼時の二酸化炭素排出量を実質ゼロに抑えながら、脱炭素社会への移行が現実的なものになります。 さらに、現在の都市ガス供給網は、都市ガスに水素を一定割合で混ぜた「水素混焼」への対応による二酸化炭素排出量削減も期待されています。

カーボンニュートラルメタンについて

カーボンニュートラルメタン(CNメタン)は、バイオガスや再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素を反応させる“メタネーション”という技術によって合成されるメタンです。

化学式
エネファーム

都市ガスが拓く、
効率的で強靭なエネルギー活用

都市ガスを活用したコージェネレーションシステムは、電気と熱を同時に効率よく生み出す仕組みです。従来の発電では、エネルギーの約6割が熱として失われますが、コージェネレーションではその熱も無駄なく活用でき、エネルギー利用効率は80%以上にもなります。家庭用燃料電池「エネファーム」はその代表例で、都市ガスから水素を取り出し、化学反応によって電気とお湯を同時に供給。
さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーと組み合わせることで、災害時のレジリエンスを備えた分散型エネルギーシステムとしても注目されています。

これからも、
この街の
暮らしをつなぐ。
やさしさの、ガス。

※画像はイメージです

石炭ガスからカーボンニュートラルメタンへ

都市ガスの歴史

1870年代〜1960年代前半

「明かり」から始まった都市ガス

石炭ガスの時代

都市ガスの起源は、石炭を乾留して得られる「石炭ガス」です。このガスは、水素や一酸化炭素、メタンなどを主成分とし、19世紀後半から20世紀半ばにかけて、主に街路灯や家庭の照明用として使用されてきました。しかし、石炭ガスは発熱量がやや低く、有毒な一酸化炭素を含むなど、安全性や環境面で多くの課題を抱えており、次第により安全で高効率な燃料への転換が求められるようになりました。

石炭ガスの時代

1950年代〜1970年代前半

高度経済成長を支えたエネルギー

ナフサガスの時代

石炭ガスに代わり、都市ガスの主原料として導入されたのが、石油精製の副産物であるナフサです。ナフサを原料とする「ナフサガス」は、石炭ガスに比べて発熱量が高く、品質も安定していたため、安全性や利便性が大きく向上しました。この転換により、都市ガスの需要は急速に拡大し、供給インフラの整備も進み、家庭用や工業用など幅広い分野で利用されるようになりました。

ナフサガスの時代

1970年代後半〜現在

環境性能に優れたクリーンエネルギー

天然ガスへの移行

石油危機をきっかけに、都市ガスの原料はナフサから天然ガスへと大きく転換されていきました。安定供給の確保と環境負荷の低減を目的としたこの動きにより、現在主流となっている都市ガス(13A)は、メタン(CH₄)を主成分とする天然ガスが使用されています。天然ガスは、同じ熱量を得る際の二酸化炭素排出量が他の化石燃料よりも少なく、燃焼時に窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)、ばいじんをほとんど排出しないという特長があります。また、燃焼後に灰などの残留物が出ない点も、環境への負荷が少ない理由のひとつです。

天然ガスへの移行

2020年代〜

脱炭素社会に向けた新たなステージ

カーボンニュートラルメタン、水素混焼への展開

近年では、天然ガスと同じ化学構造を持つカーボンニュートラルメタン(CNメタン)の導入が始まっています。CNメタンは、その原料の調達から製造・輸送・燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、カーボンオフセットによって相殺することで、実質的なCO₂排出ゼロを目指す取り組みです。天然ガスと成分が同一であるため、既存の都市ガスのインフラや家庭・業務用のガス機器をそのまま活用できる点も大きな利点で、脱炭素社会に向けた“現実的な解”として注目されています。さらに将来的には、グリーン水素の利用や、水素を都市ガスに混ぜて使う「水素混焼」などの技術の活用も視野に入れながら、より一層のゼロカーボン化が進められています。

カーボンニュートラルメタン、水素混焼への展開

都市ガスは「石炭→ナフサ→天然ガス→カーボンニュートラルメタン」へと進化しながら、
安全性・利便性・環境性を高めてきたエネルギーです。
将来的には、水素社会との連携を見据え、脱炭素の中心的役割を担う存在として期待されています。